【誰にも相談できない】職場のイライラを『食べている時だけ』静める心の防衛反応:食べ物依存を解消し、安心感を再構築する

こんにちは。心理セラピストの杉原京子です。

仕事でのストレスや人間関係の軋轢。あなたはそれをどのように処理していますか? 誰にも言えず、そっとフタをして、気づけば夜中のポテトチップス、アイスクリーム、そしてラーメンに手が伸びている…しかも、背徳感を感じながらも止められない。そんな経験はありませんか。
 「体が資本」と分かっていても止められない。それは、あなたの意志が弱いのではなく、心からのSOSです。あなたの食欲の暴走は、実は職場の不安や人間関係のストレスを「食べることで、暴飲暴食で回避している」サインかもしれません。

物理的にありえないほどの納期といった理不尽なことに遭遇した時
全部任せると言って丸投げしていくる無責任な上司
高圧的な言動の先輩
ネチネチと嫌味言いながら見下してくる部下

職場の人間関係で強い不満がある時、仕事でミスをした時…。

あなたは、心の中で湧き上がった「怒り」や「不安」といったネガティブな感情や感覚を、どうしていますか?
無意識でどうにかして「感じないように」していませんか?

 物理的に無理な納期、仕事の丸投げや押しつけに対して本当は「嫌だ」「無理だ」「腹が立つ」といった気持ちを出せずに、全部受け入れていたりしていませんか?
だとすれば、これらの「出したいはずの感情や感覚」を、食べ物と一緒に胃へ押し込み、飲み込んで感じないようにしています。

なぜ、そこまでして断れないのでしょうか?

断ることやミスをすることは、ダメな人、要らない人間と思われ、仕事を失う。それに断って上司に嫌われたら、見捨てられて居場所がなくなり、居づらくなって辞める。このような感覚が強く、職を失くすという命に直結した恐怖に繋がっていたりします。
これらの恐怖を避ける為に、嫌だという感覚や怒りを我慢して飲み込みます。その上、居場所がなくなってしまうのではないかという不安や、見捨てられる不安もないように飲み込んで、自分の中にはないということにしようとしています。
アルコールやギャンブルと同じように、食べ物もまた、あなたの「安心・安全」の代わりになっています。特にジャンクフードは、瞬間的に強い快感をもたらし、一時的に心の中の「感じたくない感情や感覚」を覆い隠してくれます。

これが、あなたの心が発動させている「心の防衛反応」です。

食べている時だけは、嫌な感情を感じなくてすみます。
これ実は、「安全」を感じているのではなく、感情を抑圧し、ネガティブな感情や感覚から一時的に回避して解放される感覚を得るための、無意識の行動なのです。

過食がやめられない人の多くは、無意識に「孤立」を選びがちです。
だから仕事で嫌なことがあっても、愚痴をはかずに一人で抱え込んでいたりします。そもそも対人恐怖が強かったり、「誰にも頼れない」と一人で頑張っていたりもします。過食をする人の特徴として、濃い味付け(塩分)と高脂質で糖分が多い食品(ファーストフードやジャンクフード系)を早食いし、家族と同居していても食卓が別で孤食(一人で食べる)をしています。そして、このサイクルをエスカレートさせているのが、「自己否定のループ」です。

  • 恥の感覚と孤立: 自分の外見に対しても引け目を感じているので、周りの目を気にして傷つきたくないと、自分の殻に閉じこもります。
  • 罪悪感と自分責め: 「また食べてしまった」と自分が許せない、責める。太った自分に対して周りからどんな目が向けられているかと不安を感じ、自分自身もそんな自分を見たくない、感じたくない、受け入れられない。
  • 人生の失格者という思い込み: 「こんな自分は人生の失格者だ」と思い込み、自分を嫌い、受け入れられない。その結果、「人からも受け入れてもらえないだろう」という恐怖が強まり、自分から距離を取り、孤立していきます。

心理的な解決方法 抑圧した感情や感覚の正体を知る

過食が止められないからと、行動レベルだけで過食を止めようとしても、過食をしてしまう心理の部分(根本理由)を扱わないとリバウンドしてしまいます。また過食(食べ物依存)は止められたとしても、お酒や買い物、ゲーム、SNSといった他のものに依存対象が移るだけということもあります。
そうではなく、心理的な根本原因を扱い、解決していくことが必要となります。

例えば、上記で書いた自己否定の負のスパイラルから抜け出し、自己否定のループを断ち切るために必要なステップを上げてみましょう。

どんな感情や感覚を食べ物で胃へと押し込んでいるのかを見ます。
 あなたが食べ物で胃へ押し込んで抑圧している感情や感覚は何でしょうか?

  • ストレスの原因となっているもの(職場の理不尽さ、過剰なプレッシャーなど)を明確にします。
  • 理不尽さや嫌なことを飲み込むことでどんな恐怖を避けられているのでしょうか?
    • 失敗して見捨てられる恐怖
    • 周りからの評価が下がる恐怖
    • 「排除されるんじゃないか」「嫌われるんじゃないか」「価値のない自分の居場所がないんじゃないか」といった居場所がなくなる恐怖
      それらに基づく予期不安
  • 人が怖い
    人から責められる、否定される、そんな感覚が強くいつもビクビクしている。 

    これらの根底にある、基本的安心感や、人との繋がり感といった愛着の問題に、目を向けてみましょう。
    自分の感情から逃げずに、ありのままを受け止められる心の「安全基地」を築くことが、過食から卒業する鍵となります。

    「飲み込んでいた方がラク」「誰にも頼らない方がラク」「ひとりでいる方が傷つかない」。あなたはそう感じているかもしれません。しかし、その「ラク」の裏側で、ネガティブな感情を食べ物で押し込み続けるという、より大きな苦痛と不健康を選んでしまっています。

    この「飲み込んでいた方がラク」「誰にも頼らずに一人でなんとかする」という防衛反応を続ける限り、過食は止まりません。
    なぜなら、あなたの心の中は不安と恐怖でいっぱいだからです。過食を止めるには、あなたの感情を受け止められる「心の安全基地」が必要です。

    感情を飲み込まずに済むようになること。
    「こんな自分でも大丈夫」と心から思えるようになること。

    このプロセスは、一人で取り組むには根深く、困難な場合があります。心の専門家との対話は、あなたが安全な環境で、抑圧してきた感情と向き合い、あなたの中に心の居場所を築くためのサポートをします。

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